対象喪失②
~対象喪失を乗り越える過程~

欲求としての承認
前回は喪失と悲嘆について述べてきました。喪失とは思い入れの強い人やものを失うことをいい、悲嘆とは、喪失によって伴う強い悲しみの情動のことをいいます。
今回は喪失をより具体的にした、対象喪失という概念に触れていきましょう。
3つの対象喪失
対象喪失とは主に精神分析理論の中で用いられています。
対象喪失は前回紹介した喪失よりも、より内的な内容になっていきます。
では、この対象喪失にはどのようなものがあるのでしょうか?
それは大きく3つに分けることができます。
①愛する人と分離すること
対象喪失とはまず、愛する人と死別、別離したりして愛する人を失うことが含まれます。
これには家族との死別、離婚、失恋などが挙げられます。広い意味では、実際に別離して
いなくても、心理的に愛する人をなくしている場合も含まれるでしょう。これから挙げる3つの
中では一番悲嘆反応を引き起こしやすい対象喪失と考えられます。
②自身の健康や身体機能の喪失
その次に、自身の健康が損なわれることによる対象喪失があります。
大きなケガや病気をすることで、健康が奪われる。それは大きな喪失感をもたらします。
また、病気やケガ以外による身体的な機能の損失も、対象喪失となることがあります。
例えば加齢によるものがあげられます。若い頃は運動神経抜群で、
スポーツはなんでもこなせていたのに、今ではできなくなってしまった。
そんな身体機能の衰えなんかも対象喪失には含まれます。
③理想としていたものへの幻滅
3つめは理想を抱いていたものに対する幻滅です。いままで尊敬していた先輩が犯罪をしてつかまった。
理想の彼氏だと思っていたのに実は浮気をしていた。など、自分の中で理想としていた他者に幻滅するようなことです。
また、理想の他者に対する幻滅だけでなく、“理想の自分”へのイメージが崩れてしまうようなことも対象喪失には含まれます。
対象喪失を乗り越える過程
通常、私たちがこれらの対象喪失に出くわしたとき、その対象喪失と折り合いをつけながら、うまく対応しています。
しかし、ときには大きな悲嘆に陥ったり、挫折感を味わったりといったことだってあります。
特に、親しい人との死別からはなかなか立ち直れないし、大きなストレスとなったりします。
これらの対象喪失を乗り越える過程をモーニングワークと呼びます。
次回はこのモーニングワークについて詳しくみていきましょう。

